とんかつQ&A「仮面ライダー鎧武」

Q.


とんかつ教室の過去回でロースおじさんが仮面ライダーについて熱く語っていたのを読んだのですが、現在放送中の「仮面ライダー鎧武」はご覧になってますでしょうか? フルーツを元にしたライダーのデザインには衝撃を受けましたが、おじさんはかっこいいと思いますか?



お名前:シムングルンさん

A


うん、確かにこの辺とか、この辺で、仮面ライダーの話はしとるんやけど、何度も言うようにおじさんほんとに仮面ライダーには疎いんよ。だからあんまり深い話はできへんのやけど、その前提で一つ言いたいのは、仮面ライダーに対して「あんなのおもちゃを売るための宣伝番組でしょ?」って冷笑的に切り捨てる奴は、わかってる風な口を聞きたいだけのただのバカっちゅうこと。
 
 
こっちはそんなのは大前提で、いかに効果的に宣伝してくれるかを楽しみながら見てるからね? おもちゃだって適当に作ってるわけじゃなくて、例えばベルトと連動するコレクターアイテムだって、「子供が欲しがるものは大人に『触ったら駄目だ』って言われるものだ」っていう思想がまずあって、そこから考えに考えて、仮面ライダーWのUSBメモリ、オーズのお金=メダル、フォーゼのスイッチ、ウィザードの指輪、鎧武の鍵って流れできてるんよ。一口におもちゃの宣伝と言っても、その裏には知恵を絞った企業の販売戦略があるわけ。
 
 
戦略の一例をあげると、これは戦隊ヒーローの話になるけど、クリスマス前には敵幹部とかの強敵が前線に出てきて、総力戦でそいつを倒すために今まで登場した全てのロボが出てくるんよ。つまり全てのおもちゃを宣伝できる回ってわけ。これはもう定番の流れと化してるんやけど、「獣電戦隊キョウリュウジャー」だと、クリスマス回では「いよいよ敵が世界全体に侵略をし始めた」ってストーリーになって、「全ロボを分散させて各国に派遣させなくちゃいけないから戦力が散らばって超ピンチ!」って展開になるんよ。この無理なくおもちゃを宣伝するシナリオ的な必然性と、熱い展開の融合、見事な手腕だと思わん?
 
 
「鎧武」は例年より一ヶ月遅れの10月に始まった上にキャラクターの数も多いから、脚本書いとる虚淵玄さん(代表作:『魔法少女まどか☆マギカ』)はめちゃくちゃ苦労したらしいけど、そういう一流の大人たちが脳に汗かいて作っとる裏側を知った上で、「ただのおもちゃの宣伝番組だろ?」とか言うのって、最高にかっこ悪い行為やと思わん? おもちゃを宣伝するのも楽じゃないんよ?
 
 
「ライダーも妖怪メダルも、バンダイはえげつないコレクター商法やめて欲しい」って声もあるけど、仮面ライダーは「ディケイド」や「オーズ」ぐらいの時から、それまで100億前後だったグッズの年間売上が200億に達し、それから毎年200億前後をキープしてる巨大ビジネスなんよ。キミがもしバンダイの社員やったら、「こんなえげつない商法はやめましょう」って言える? それで飯食ってる人間が大勢いる中で、そんな発言できんよね。 子どもたちのヒーローである仮面ライダーで金儲けしてるって構図自体が気に食わんのかもしれんし、そういうノスタルジックな気持ちもわからんではないけど、これだけ動く金がでかくなったら、それはもうただの子供番組やなくて、「効果的におもちゃの販促をしながらも、子供を楽しませる気持ちを忘れず、大人の観賞にも耐えうるエンターテイメントをいかに作ってるのか?」って視点で見る方が自然やとおじさん思うんよね。だからそうした視点で見れば見るほど、今回の「鎧武」も面白いよ。
 
 
「鎧武」の序盤の要素としてダンスバトルがあるんやけど、あれも制作サイドが「今回のおもちゃは『フルーツ・錠前・戦国武将』ってコンセプトがあるんですよ」ってことを事前に提示してて、そこで虚淵さんが「ええ!? 3つもストーリーに組み込まなきゃいけないの!? ……まぁ繁殖していくフルーツ、何かを封印する錠前はシナリオに組み込みやすいからなんとかなりそうだな。武将はあくまでデザインだけの要素でいいや。でもフルーツにいきなり世界を守らせるのはおかしいし、今回のライダーはたくさんいるらしいから、最初は何かしら別の軽い要素で争わせるのがいいな。スポーツかな、アイドルかな、チーマーの縄張り争いかな」と悩んだ結果、ダンスバトルを選択したんよ。そういうおもちゃとシナリオのバランスの取り方なんかも、注目して見ていくとなかなか面白いんよね。
 
 
あと「鎧武」は開始当初、「キミはどのフルーツが好き?」って広告を出したり、
公式で「おもしろ変身集」っていう動画を出したりしたんよ。要はネット民たちがこぞって「仮面ライダーなのにフルーツwwww」ってツッコんじゃうようなふざけたノリをあえてやったんやけど、これも今にして思うと「虚淵脚本」へのフリだったんじゃないかって思えてならんよね。「まどマギ」とか見た人は分かると思うけど、当然のごとく死ぬんよ、人が。
 
 
これ見てない人にはネタバレになっちゃうんやけど、「鎧武」に出てくる雑魚怪物って、元・人間なんよね。一話でいなくなっちゃう主人公の先輩がいるんやけど、それが主人公が最初にぶっ殺した雑魚敵だったってことが中盤に判明する鬱展開。あと味方寄りのライダーだった「仮面ライダー黒影」こと初瀬ちゃんってキャラがいるんやけど、途中で怪物化してしまって殺さざるをえなくなったりするんよね。こういう暗い展開とのギャップを作るために広告でふざけてたんかと思うと、ますます戦略的な面白さが見えてくるね。仮面ライダーに興味ない人も、今おじさんが言ったみたいなことを念頭に置いて、たぶん9月から始まる仮面ライダーの新シリーズを観てみて欲しいね。
 
 
あ、そうそう、仮面ライダーは新人俳優も多いから、新シリーズの第一話は演技がヘタなコもおるかもしれん。でも、仮面ライダーと戦隊モノは1年を通じて俳優の成長がわかるっていう点も抜群におもろいで。そもそも、いま日本で1年かけてやってるドラマなんて特撮と大河ドラマぐらいしかないんよ。大河は歴史物やから話の大筋がなんとなくわかるけど、ライダーと戦隊モノは誰が死んで誰が仲間になるなんて最初は全く予想できん。1年かけてドラマが収束したり、スパンの長い伏線が回収されたりする醍醐味が映像で味わえるのは今やニチアサの特撮しかないんよ。だからおじさんは「どの仮面ライダーがおもしろいの?」って聞いてくるヤツは基本信用してないね。おもしろい作品を教えることはできるけど、おもしろいって保証されたものだけを見るその行為はオモロないやろ。時にはハズレも引きながら自分で色々探して、自分の視点で物事を解釈するから娯楽っていうのは面白いんよ。
 
 
 
さて、仮面ライダーのことなんて全然知らんくせにダラダラ長くなってもうたけど、とにかくおじさんは「鎧武」を応援しとるよ。あと「鎧武」の前にやってる「トッキュウジャー」も観とる。これの脚本書いてる小林靖子って人もトラウマメーカーとしての実績がある人やから、いまのニチアサ観てる世代はトラウマ耐性がつくかもしれんね。どれほど放置した排水口より醜いとされるおじさんのフルヌードをいきなり見せられても強く生きていける子供さん達が育ちつつあるのかもしれん。そういった意味においても、おじさんは「鎧武」と「トッキュウジャー」を全力支援するよ!!!
 
 
 
 
 
 
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ロースおじさんのとんかつQ&A

「〜その悩み、豚に相談した?〜」







 
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