とんかつQ&A「生理的に」

Q.
 

24歳のOLです。職場の男性(40代)が私に気があるっぽいんですけど、顔とかしぐさが生理的に無理な感じなのでやんわり拒否する方法を教えてください。



お名前:ファティマーさん





A




「生理的に無理」って言葉、この数年で一気に定着したね。「理屈じゃない、体が拒んどるんや!」って弾き返せる問答無用の無敵感が流行の秘訣なんやろか? どうでもいいけど。
 
 
 まあ、誰でも理屈抜きで苦手なものってあるよね。おじさんは最近あれが苦手なんよ。チアシード。健康食品としてミランダ・カーとかが愛飲しとるらしいけど、あのカエルの卵みたいなフォルムの粒をオシャレ女子たちがなんの躊躇もなくパクパクズルズルいっとる光景が悪夢的でゾワゾワくるんよね。
 
 
 でも、見てしまうんよ。ふらりと立ち寄った成城石井にチアシードドリンクが並んでると、ついじっと眺めてしまう。なんなら買うよね。カバンに常備しては定期的に眺めてゾワゾワ来るのを繰り返しとる。気色悪いものって気になるし、ついじっと眺めてしまう魔力があるんよ。おじさんのブログを読む動機と同じや。
 
 
 そんな「気持ち悪い・生理的に無理」なものを突き詰めているのが、イギリスの映像作家cyriak(スィリアック)の映像作品や。あ、本当にそういうのがマジ苦手な人は見たらアカンで!
 

 

 
 よくまとめサイトなんかでも取り上げられとるから、知っとる人は多いかもしれんね。たぶん初めて上の動画を見た人は「キモい」って思ったはずや。でも同時に、脳の裏側を掻かれてるような奇妙な快感もあったんやないかな。
 
 
 人が「キモい、怖い」と思うものには特徴があって、ザックリいえば「領域を侵してくるもの」や。血や内臓は、人間社会が排除して隠しているものだから不快。深夜にかかってくる無言電話はプライベートな空間に侵入してくるからキモくて怖いんよ。
 
 
 cyriakの動画は、ありとあらゆる手段を使って領域を侵犯してるから気持ち悪く感じる。ヒトの頭には世界観の保管庫みたいなものがあって、「牛」はこういう形で、こういう動きをして……というデータが登録されとる。だから、動物の牛が完全に規則的な動きをしたり変形したり分裂したりするのを見ると、モノの可動領域が侵されて混乱し、不快感を催すんや。
 

 

 
 何気ない大通りを無秩序に行き交う人々と車に規則性が生まれ、徐々にその規則性が世界を侵していく。中盤からは主従のバランスが崩れ、フラクタル的な幾何学構造に世界が書き換えられてしまう。ここまでくると、キモいを通り越して恍惚とするわ。マゾヒスティックな快感やで。
 
 


 
 こっちの動画は前2つの動画の混合パターン、集大成と言えるかもしれんね。表現がかなり強烈やから要注意や。生物は無機物に、あるいは別の生き物のパーツになり、無機物は生物のようにうごめく。過剰な繰り返しの中で世界がバグって、あらゆる領域が曖昧になり、全てがコラージュのように再構成されていくんや。ただのカオスやなくて、別の規則性が侵入しているせいか不快感も心地いい。おじさん、生理的嫌悪感も込みでcyriakの動画が本当に好きなんよ。
 
 

 あれ? なんの話やったっけ。あ、同僚の好意をやんわり拒絶する方法か。その人にだけ屁で返事する。