ミンチーのにっき - 35「ゴケポンモー」





▼2016年7月22日

今日、ロースおじさんがスマホを持ってウロウロしているのを見た。ぼくが「おじさん、何してるの?」ときくと


「なんやミンチー、知らんのか……ポケモンゴーや、ポケモンゴー」


と言って、画面から目もはなさないで歩いて行こうとする。心なしか目つきがうつろで、おじさんが向かう先には小学校があった。


「あの小学校の中にな、めっちゃめちゃエグいポケモンが出るんよ……」


エグいポケモンてなんだよと思ったぼくは、おじさんを引きとめようとした。でもおじさんはぼくにかまわず、工業用機械のような力強さと精密さで一歩一歩と足を前に進めていく。


「信玄餅を……チョークの粉で……信玄餅を……」


スマホ片手にブツブツとうわごとを言いながら、おじさんは学校の柵をよじのぼる。サスケ常連出場者・山田勝己をほうふつとさせる身のこなしだ。そのとき、高らかに笛が鳴りひびいた。


「そこの豚! 止まりなさい」


警察の人だった。おどろいたおじさんがスマホを地面に落とした。カランと音がなった。それはよく見ると、裏面に「4-2 ゆうき」という名札のついた黒いカンペンケースだった。

すぐにおじさんは警察にゲットされた。おじさんの放つ異臭がルアーモジュールのように警察官をひきよせたおかげで見つかったらしい。

そのあと警察の人からきいた話。おじさんはあのとき、脳波が全く動いていなかったんだって。


つまり。全く意識がなかったんだ。










おわり。